▲2階LDK
3年前、ハウスメーカーで建てた”一応注文住宅”と言われる家でした。
奥様Kさんは、家に対して「実現したい想い」があったのですが、メーカー主導の家づくりになり、かつ、使いたいと思う材料も「仕様にない」と断られ、ご自分の想いは叶わなかったそうです。「勉強が足りなかった」と後悔されていました。
Kさんは、自然素材の・・特に「木の家」に住みたかったのに、出来上がったのは”建材の家”。
しばらくしてすぐにリフォーム会社に頼んで、天井に珪藻土を塗ったり、クロスを変えたりしました。
▲2階LDK・階段側。
ある時Kさんは、「家が呼吸してない」という事に気づいたそうです。
いくら天井に珪藻土を塗ったとしても、部屋は、建材のフローリング、建材のドア、建材の巾木、建材の階段板・・・木のように見えても”木の柄”が印刷された「木っぽい」物で出来上がった家です。本物の木のように湿気を吸い込んだり放出したり、手触り/足触りで人の感覚とつながるような事がありませんから「呼吸をしてない」と感じるのも当然です。
▲2階ダイニングからキッチン方向
▲工事前
Kさんは、家のいろんな部分が嫌になりました。そして「自分が素直な気持ちで暮らしていける家にならない」と思い、家を売って違う場所に「もう一度を家を建てたい」と思うようになりました。それほど「嫌い」になってしまったんですね。
最初にご相談いただいた時は、「家を新しく作りたい」という事でした。
▲キッチン
▲工事前のキッチン
「こんな大きなキッチンはいらない」と言われましたが、予算の関係でこのまま使う事にしました。「吊戸棚はいらない」ということで無くし、横に並んでいた冷蔵庫を背面の壁側に移動させ、キッチンの位置を奥にずらしました。「食洗機もいらいない」と言う事で、収納キャビネットを入れ変えました。
それからKさんは、一生懸命土地探しをし、「これは!」と思う情報を私に確認し、私が意見を言う、という事を何度か繰り返しました。
でも、なかなか見つかりませんでした。お子さんが小学生なので「学区域内」という条件があったからです。
最初のご相談から4カ月経った頃、Kさんはリフォームの事も気になりました。
そこでKさんに質問をしました。「何がそんなに嫌なのか?」
具体的に、ひとつひとつ考えてもらいました。
そうすると、それらの多くはリフォームで解決できる事でした。
Kさんが「嫌い」と思っていた事一つ一つに解決方法を説明しました。
私は「家は変えられる」と言っています。
Kさんは、具体的に家がどう変わるかイメージできなくても、なんとなく「変われるのかもしれない」と思えるようになったようでした。
▲キッチン
キッチンを奥の壁まで移動し、冷蔵庫を背面の壁側に移動、その並びに、作り付の食器収納と吊戸棚を作りました。
その後、実際に家を拝見し、話しを続け、お問い合せをいただいてから約半年後・・・リフォームする事になりました。
”志田さんが設計する、開放的で、どことなく懐かしく、木のある呼吸した家に住みたいんです”
と、Kさんは言ってくださいました。
そこから設計がスタートし半年後、工事が終了しました。
▲キッチンの一番奥の壁にある細長いサッシの窓の手前に、木で作った格子窓を取付ました。
▲シンクの前のサッシの窓の手前にも、木で作った格子窓を取付ました。
どちらの木の窓も、Kさんが望んでいた「木の家」に近づけるためです。
「ここに木の窓があったらうれしいですか?」と聞くと「うれしい!」と言われました。
▲キッチンからリビング方向
▲工事前
▲工事前のリビング
▲リビングから階段方向
▲新しく作った小窓からリビングが見えます。
▲3階から屋上に上る階段
工事前は、階段の下はボードが張られ(それが普通なのですが・・)2階から3階に上る階段は(も)、”暗い場所”でした。
Kさんの希望に「リビングに日の光が入るようにしたい」というものがありました。階段がある方が南側になり、夕方まで部屋に日が入る事がありませんでした。
窓作るか床を抜くかしかそれを叶える方法はなく、でもそれは現実には無理です。そこで、3階から屋上に上る階段を”一部抜いて”屋上からの光をなんとか2階まで取り込みたいと考えました。
そこで、階段の蹴上部分を無くし(鉄骨で補強してあります)、光が下に流れるようにしました。
階段の壁に新しく作った小窓は、その光を感じるためのものでした。
▲3階廊下と階段 正面は寝室
▲3階寝室
部屋へ入るドア、クローゼットの扉を木製の物に作り変えました。(白塗装)
そして床に、杉板を張りました。
▲寝室
左が入口のドア。その右隣は、隣の部屋との壁を無くしてつなげた部分。
3階には小さな部屋が3つあり、狭苦しいく風の流れが悪いのが、Kさんは嫌でした。
▲寝室
寝室の隣の部屋から寝室を見る
▲3階から屋上へ上る階段
階段の蹴込板を無くし、光と風が抜けるようになると、とたんに気持ちよくて気になる場所に変わりました。
以前は誰も見向きもしない階段だったのに それが・・・
階段の工事が終わらないうちから、お子さん達が使い出しました。
子供ならでは嗅覚で「面白そう」な場所と感じたのでしょう。
▲3階寝室
工事途中・・2階が変わって行く様子を見て、3階もやりたくなってしまったKさん。
「私の部屋を良くしたい」とご自分の寝室の「木っぽい物」を無くし、床に杉板を張りました。
ご自分が満足する事って、大切です。
▲工事前の寝室
「木っぽい」もの(建具/フローリング)でできていた部屋
▲階段から2階のダイニングを見る
「一番嫌い」と言っていた階段。その階段から見る景色もなんだか絵になります。
階段は、2階の一部と、屋上に上る階段の一部に手を加えただけ。階段自体を作り変えたわけではありません。
「木っぽい」もので出来ている階段ですが、今は「許せる」そうです。
気持ちの余裕ができたという事でしょう。
▲2階のダイニングの照明
Kさんは今、自分の好きな物を厳選して置いています。
元から物が少ないのですが、新しくなった家では「もっと減らしたい」そうです。
工事前の部屋の写真を見て・・・
”ガチャガチャしていて落ち着きがない!”
”聞きたくない音楽を大音量で聞いて我慢してる感じ”
と言います。
Kさんの求めるものは、複雑ではなく、シンプルな場所だったんだと思います。
ご自分で「嫌な家をなんとかしよう」といろいろ付け加えた事は逆効果だったのです。
そして大切な事が、本物の木。
木造3階建の家ですから(基本は)構造の木を”表わす”事ができません。ですから、木造であっても木の家である事は感じられません。でも、この家は『木の家』になりました。
やった事は・・・床に無垢の木(杉板)を張った事。
杉板に反射して目に入る光は柔らかです。裸足で歩くとほんのりと伝わる温かさ。そしてサラサラ感。・・Kさんの心とつながり気持ちを穏やかにしてくれます。
家は変わりました。そして、Kさんの気持ちも変わりました。
満足していただけて、よかったと思います。
しかし・・・住みながら工事した約3カ月。職人さん達とも親しくなっていろんな事を教えてもらい、、どうやらDIY心に火が着いたようで、余った杉板を使っていろいろ作ろうとしています。
この家が変わっていくのかもしれません。それはそれで、いい事だと思います。
■ 建築概要
建築地 | :東京都板橋区 |
---|---|
施主 | :夫婦+子(3人) |
構造規模 | :木造3階建て |
2階LDK面積 | :23.1m2(14帖) |
施工 | :(株)ミキホーム(幹建設) 担当:宮前 |
中板橋の家(R) 2018年見学会・参加者の声
中板橋の家(R) 施主インタビュー
中板橋の家(R) 施主からの手紙
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中板橋の家(R) 2019年見学会・参加者の声
ブログ内記事 Home Room [ Works ] 中板橋の家(R)
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