杉板を床に使い始めて一番古い家で20年近くになります。この20年くらいで家に対する世の中の考え方もずいぶんと変わってきました。無垢の・・本物の木の床板を使う事の良さはかなり広まったと思います。
20年くらい前は、杉の厚板を使うちょっとした?ブームがありました。でも、無垢材を使う事、ましてや柔らか杉板を使う事をためらう建築関係者も多くて、「杉板は柔らかいからすぐ傷がつくし冬になると乾燥して板が縮みすき間があくから勧められない」なんて言われていたものです。住む人にとって何がいいのか?という事よりいかにクレームにならないかという作る側にとっていい物、という視点が強かったのです。
20年経った今も、自然の素材なので変わるわけではないんだけど、自然の素材の良さは各段に理解されるようになったと思います。
私は杉板が一番!と思っていたわけではなく無垢材を!できれば国産を!使うのがいい!と考えていました。それは今も変わりません。ただ、無垢材もたくさんあって値段もピンキリ。杉板はキリのほだけど、でも本物の木!高級な広葉樹の金額出すなら厚さ3cmの板だって使えるです。しかも巾が広い板を。厚さが合って巾が広くて本物の木で、その信頼感、安心感は何ものにも変えられない!そう思っていました。ホームページを作った時にすぐに 【杉の床の暮らし】というページを作りました。
施主のみなさんも喜んでくださるので「これはちょっと杉の床の事を伝えないといけない!と思ったのです。
杉を床に使い出して20年。最初は「節(ふし)のある板でいい!安いけど本物だから」と思っていました。それもいろいろ経験していろいろ知っていくうちに「もうちょっといいものを使うともっと気持ちいいのでは」という事を考え出し、私自身の考え方も変わってきました。杉板の良さはたくさんあるし、科学的な効果も知るようになり、値段の問題だけでなく「杉板はいい」と思います。使い始めの「数年」の経験だけでなく「10年を超える」経験も蓄積されてきました。
家は10年で建て変えるわけではありません。当初の真新しい材料で出来上った状態はほんの一瞬でしかありません。10年経てばもう取繕う事はできず材料の本当の姿です。素材としての良さは十分にあってお勧めできる杉板だけど、10年経った姿を正直にお伝えしないといけない。その上で納得して採用してもらえたらいいなと思っていました。
人も家も、時間とともに劣化していくのが自然の流れです。「劣化」という言葉はなんだかイヤな気持ちになるかもしれませんが、それは決して悪い事ではなく、「衰える」部分もあれば「時間とともに深みを増し美しくなる」部分もあるんです。どちらも現実で、目をそむける事ではなく、受け入れ理解し、その上で、「深み」を「美しさ」感じられ「変化」を楽しめるなら、家も人生も楽しめると思うのです。
ですから、正直に、杉板の床の10年後の姿をここに、お見せしたいと思います。「こんなのイヤだな」と思う人は、杉板をはじめとする針葉樹は選択肢からはずしてください。「こういう感じ、好きだな」と思う人は、ぜひ検討してください!
1年後、3年後
10年後の前に、まず1年後、そして3年後の状態をお見せします。
1年でもこんなにも変わります。日焼けもするし人が歩く事で汚れます。
事例:千住大橋の家
完成時
厚さ15mm源平。淡い赤白の色がきれいです。
1年後
日当たりのいい部屋です。3人の男の子がいます。
事例:Kinoco キノコ
完成時
厚さ15m赤身。赤身の板でそろえました。きれいです。
3年後
マンションで日当たりのいい部屋です。男の子と女の子がいます。そして3年目には猫も住人になりました。
3年目の板です。猫の爪跡もあります。
1年後、3年後、、新築時の杉板が一瞬で変わってしまう事を理解していただけた事と思います。最初のすがすがしさが杉板のいいところの一つではありますが、残念ながら、最初だけのプレゼントのようなものです。ただ、その他の良さはなくなりません。
10年後
では10年後の状態をお見せします。
施主は独身で南の窓の障子を入れましたが普段はここを開けておく事はありません。それでも日焼けするでしょうけれど、ゆるやかだとは思います。
事例:LWH001
完成時
厚さ15mm源平。淡い赤白の色がきれいです。
10年後
完成時
10年後
10年後の板です。結構きれいだと思います。まめにはワックス掛けをして手入れされています。日焼け量が少ないというのもありますが、手入れも大切です。半年とか1年おきに、とまでは言いませんが、2年くらいに一度は手入れしてもらえるといいと思います。
13年後
次に13年後の状態をお見せします。
施主はご夫婦。50代の時に都心から郊外のこの家移られました。3匹の猫とともに。3匹の猫がいますから、床もそれなりです。
事例:風樂房(ふうらいぼう)
完成時
厚さ15mm源平。淡い赤白の色がきれいです。
13年後
13年後
13年後
13年後
南向きの日当たりのいい部屋です。日焼けはありますがもはや日焼けだけではなく猫の足裏の脂?だったり、いろん事の積み重ねが色あいや傷になっています。
10年後、13年後、、いかがだったでしょう?これが、年月が経った正直な床の姿です。
13年目の風樂房は、猫がいるためにひときわ状態が違いますが、実際には写真ほどの表面のデコボコや猫の爪跡を感じたりはしません。意識して見ればわかりますけどね。
年月が経ち、その間に床の表面はデコボコや傷だらけです。でもそれがある事によって窓から入る陽の光の反射が乱れ、強い光に感じなくなります。という事は目にも優しく落ち着いた雰囲気になるのです。
10年後、13年後の家の写真を見て、どこか懐かしい感じがしないでしょうか?そんなふうに思える方なら、床に杉板を使っても大丈夫だと思います。
杉板の床をお考えになっている方に参考になれば、うれしいです。
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