小さな家、夢のあと~さよならLWH003


2020年3月21日、家族3人と2匹の猫が暮らしていた小さな家・LWH003の見学会を行いました。おそらく最後の見学会を。。

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施主ご家族は、ご主人のお仕事の関係で転居される事になり、この家は賃貸になりました。

見学会当日はすでに引っ越しをされていて、最後の片付けを兼ね見学会のために来てくださったご主人Tさんだけがいらっしゃいました。少しお話したのですが「他にちょっと用があるから」と外出されました。見学会なので気を使ってくださったのでしょう。

Tさんご家族がつい最近まで暮らしていた家。なのに、物がなくガランとした家に私ひとり。とても不思議な感覚でした。

ぬくもりがあるようで、なんにも無い。でも、5年という時間だけはしっかりと積み重なっているようで、ひとりで居て感じるものは「寂しさ」でもありませんでした。


小さな家、夢のあと~さよならLWH003

2階リビング


小さな家、夢のあと~さよならLWH003

2階リビングからダイニング方向


小さな家、夢のあと~さよならLWH003

ダイニング(約3帖)


小さな家、夢のあと~さよならLWH003

ダイニングとキッチンを仕切る家具


奥様がメールで「(この家は)わたしたちの安心基地でいてくれました。」と書かれていました。そんなふうに思ってくれていた人達が「もういない」という寂しさはもちろんあります。でも寂しさというより、ちょっと「安堵感」もあります。私が設計した家がご家族をちゃんと守っていてくれた。。「よくやったね!」とねぎらう気持ちのほうが強い感じでした。


小さな家、夢のあと~さよならLWH003

キッチン(約3帖)


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Tさんがこだわった壁付換気扇と業務用コンロ


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キッチンからリビング方向


小さな家、夢のあと~さよならLWH003

リビング。こちらの窓が北側。


3帖のキッチン、3帖のダイニングを「十分」と言われました。頑張って南の庭をとろうしてもそれほ大きくとれないので潔く「いらない」と言い北の道路側にスペースをとりました。そもそも小さな家を作りたかったご夫婦なので、限られたスペースの中で何を優先するのか?どうすればそれができるのか?は、家を建てる前、賃貸に住んでいる時から考えられている人達でした。「そういう人だから住めるんでしょ」と言われれば、確かにそうなのかもしれません。


「特殊解」だとは思います。でも見学会に来た人達はみな、こういう家は「あり」だと言ってくれます。小さい家に興味ある人達なのだから当然ではあるけれど、でもそういう人達が人口の数パーセントかもしれないけど「いる」という事もまた事実です。

小さなキッチンを見て「これで十分だな」と言います。「効率的だね」とか「あまり料理得意じゃないから」とか・・。ほとんどの家庭が共働きの今、家の事を「頑張らない」というのは、それも「あり」なんじゃないかと私は思うんです。「ちゃんと料理しないと家族は幸せじゃない」が正しいとは言えませんもんね。いろんな在り方がありますよ。


小さな家、夢のあと~さよならLWH003

リビングからキッチン方向


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2階からロフトへの階段


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ロフト。階段方向をみる


小さな家、夢のあと~さよならLWH003

ロフト。左の窓が南。右の上はトップライト。


6帖あるロフトは、単独の部屋としてはこの家の中で(有効面積で)一番広い場所。寝室として使われていました。うる覚えなんですが、昔「大草原の小さな家」というアメリカのドラマがあり日本でも大人気でした。その家族の家で、子供達の寝室が屋根裏・・つまりロフトだったような気がするんですが、なんとなくそれを思い出させるのです。天井は低いけど、なんだか楽しそうで幸せそうな場所。

おまけに、階段の回りに板をつけキャットウォークつくりましたから、猫も一緒になって、楽しい場所だったんじゃないかな~

トップライトから入る月明かりの中で眠る事ができるなんていう、普通の家ではできないすごく贅沢な事ができる家です。


小さな家、夢のあと~さよならLWH003

1階廊下から洗面脱衣のドア方向


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洗面脱衣トイレ


小さな家、夢のあと~さよならLWH003

階段下の1階クローゼット


この家が完成する約1年前に設計が始まりました。そこから約2年前にメールで問い合わせをいただき、土地探ししながらアドバイスやいろいろなお話しをしていました。トータルすると3年くらい掛けた家づくりでした。

最初は、ご主人のお勤めの会社に近くなるよう都心の土地を探していました。「よくこんなのがあるね!」と驚くような土地も候補にあがったり。。結論から言うと、ちょっと特殊な土地は、なかなかうまくいかない。大通りに面してるとか変形してるとか密集地だとか。さらには持ち主の身内がまとまらないとかで結局「売れない」となったり。

何度も何度もうまくいかなくて、ほとほと疲れ果ててしまったTさん。でもご自分の通勤の大変さをおきらめたら、当時住んでいた地域で土地が見つかったという、これもまたすごい話しなんです。


小さな家、夢のあと~さよならLWH003

5年経った杉板。階段まわりは特に年季が入る。


小さな家、夢のあと~さよならLWH003

写真のまん中あたりにキズの補修で埋木をしている。そんな事もできるのが無垢の木。


小さな家、夢のあと~さよならLWH003

北側の立面。庭はTさんの手作り。


Tさんの一番最初のメールには実現したい家に対するご希望が書いてありました。読み返してみるとほぼそれは実現されていました。


・予算をできるだけ抑えたい

・設備機器にこだわりないので安いのでよい

・2FのLDKは杉のフローリングにしたい

・できる事は自分でやる。クローゼットの中も自分で作る


全部、そうなりました。DIYが趣味なのでクローゼット中の棚もキッチンの収納の中も細かい仕切りなどもご自分でやりました。庭も全部自分で作りました。(自転車置場は別)

Tさんの夢が叶いました。

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予算については世間で言うローコストとはちょっと違うのですが、ご自分が設定した金額でだいたい納まりました。(たぶん)・・

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「たったそれだけ?」と思うかもしれませんが、Tさんの家に対する考え方は、とてもシンプルでした。


「家を”一生の買い物!”と分不相応にお金をかけ毎年繰り上げ返済にヤキモキする日々を送りたくはありません。絵に描いたようなローコスト、例えばビニールクロスだらけでニトリのキッチンで、と頑張れば確かに安くなるけどそんなのもイヤで。ただ「それなりに割り切った」仕様であれば、ローコストで豊かな住まいも可能ではないかと思ってます。」


Tさんの目的は「豊かな気持ちで暮らす事」。沢山のお金を掛けられなくてもそれは実現できるはず・・という考えに私は共感し、実現したいと思いました。


引っ越した先でも『目的』を実現するためにTさんは、その家を、DIYで自分とご家族の棲家に仕立てているそうです。


小さな家、夢のあと~さよならLWH003

Tさんが見学会のために置いといてくれた、小さな家の小さな模型


小さな家、夢のあと~さよならLWH003

何も無くなったダイニング。Tさんが自作した小さなテーブルが置かれ、かわいらしくて、温かなダイニングでした。今でもその印象が強く残っています。”何も無い”という事が、夢を見ているような気持ちでした。






”考えている事・見ているもの”が「何か違う」と、ひとりで悩み続けないで、よかったら、家の話しをしませんか。

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